サンタ捕獲大作戦

  

クリスマス。

 

そう聞いて何を思い出すかと言えば、

「サンタ捕獲大作戦」だ。

 

 

子供時代、私は結構ワルガキだった。

 

学校ではなかなか馴染めずに、おとなしくて目立たなかったけれど、

ひとたび家に帰れば、姉の私、妹、弟の三人でつるんでタッグを組み、

いたずらも含め、実にさまざまな遊びをした。

そして近所の男の子たちも集まれば、

いちばん歳が上だったのもあり、

学校でおとなしかったはずの私は、ガキ大将となった。

いわゆる、ジャイアンだ。

戦隊ごっこでは、真っ先に

「私レッドね」とレッドをひとりじめした。

 

 

隊長であり遊びの企画担当であった私は、

クリスマスイブにふと思いついた。

 

「サンタクロースを捕獲すれば、プレゼントを全部独占できる!」

 

というアイディアだった。

それを話すと、すぐに妹も弟も賛同し、三人で作戦会議をする。

私は偶然にもこの作戦に有効そうな ”罠” のアイディアを仕入れていた。

いつも三人で寝ている部屋にその罠を仕掛けようということになり、

私たちは早速作業に取りかかった。

 

 

 

とはいえども、所詮は子供のアイディアである。

”罠”というのは、

もらい物とかによくついてくる包装紙を、部屋の床に張りめぐらせるというもの。

この包装紙、実は上に乗るとよく滑るのだ。

 

作業を終えた私たちは、罠の素晴らしい出来を見てもらいたいと思い、

「見て見てお母さん〜!」と母親を部屋に呼んだ。

我が子に呼ばれ、「なになに?」と無防備に部屋に踏み込んだ母親は、

張り巡らされた包装紙製の滑る床に、すてーんと滑り見事な尻もちをついた。

 

 

案の定、「危ないから剥がしなさい!」と私たちは叱られ、

頑張って貼りめぐらせた罠を泣く泣く剥がす羽目になった。

そうしてこの作戦は失敗に終わった。

 

 

 

大人になってから、たまに笑い話としてこの話を出すことがあるのですが、

これが、サンタクロースが母親だと知らなかった無邪気な子供だった私の、

とあるクリスマスの日の思い出です。

 

 

 

 (今週のお題「クリスマス」)